ジョギングブームの裏に〜山本謙吾教授の論文に学ぶ〜

足底腱膜(けんまく)炎は、スポーツによる足の裏の痛みの代表的な疾患だが、スポーツ選手だけでなく一般の人にも良く見られる。特に中高年は加齢とともに腱膜の弾力が失われて起こしやすいので注意したい。
■足底腱膜炎
足底腱膜は、かかとの骨から足の指の付け根にかけて土踏まずのアーチを支えている組織。そこに繰り返し負担がかかって慢性の炎症がおこるが足底腱膜炎だ。
東京医科大学整形外科の山本謙吾主任教授は「足底腱膜に負担がかかるものには、ジョギングなどのスポーツと肥満などがあげれられます。炎症は主にかかとの骨と腱膜のつなぎ目に生じて痛みを伴います」最初は、かかとのあたりに体重をかけると痛む程度で、進行すると足の親指を反らすと痛むようになる。「こうした自覚症状があり、日常生活に支障をきたす場合は整形外科を受診すべきです。」
靴は中敷き利用を
診断では通常、問診と足の裏の圧迫、親指を反らして痛みの出方を診るなどが行われる。
「足底腱膜炎とわかれば消炎鎮痛剤を用い、局所の安静を保って負担を軽減するのが治療の基本です。たとえばスポーツをしている人なら、運動量を減らすとともにテーピングで足底腱膜を固定するといった治療が行われます。」
日常生活では、?足首と指のストレッチングを行う?靴は足底板(中敷き)を利用して土踏まずのアーチを保つ――などに留意する。また、肥満の人は減量を心掛ける。
山本主任教授は、「痛みが激しい時には、局所にステロイド剤を注射する治療法もありますが、常用すると足底腱膜が切れる可能性があります。ステロイド剤の注射を受ける場合は、医師と十分に相談するように」とアドバイスしている。